
今回はNPO法人HERO(ヒーロー)さんをご紹介させていただきます!
2013年からHEROさんのカンボジア担当として活動する澤 ルリ子(さわるりこ)さんにお話を伺いました。
その中から一部を質問形式で抜粋いたしましたので、是非最後までご覧ください!!
【NPO法人HEROとは】
2011年2月に団体設立してから、
世界各国で、経済的・社会的な理由により学校に通えない子どもたちのために
無料で通える学校を作り、各国の現実に応じた学ぶ機会を提供している。
『可能性を0%から1%へ』をミッションに掲げ、
教育の機会の提供を通じ、誰もが自分の可能性に挑戦できるよう社会を目指す。
また、団体名であるHEROは『誰かに希望を与える人』というメッセージを込めており
世界中にHEROを増やしたいという想いのもと活動している。
ひとりひとりが、たった一人に対してでもいいから希望を与えてあげる=誰かのHEROになり
希望を受け取った人が次は他の誰かに希望を与える。
そのつながりがどんどん広がっていく世の中を目指している。
現在はカンボジアに対して学校建設のみならず、スタディーツアー、ビジネスインターンシップ、
マイクロ養豚バンク、ソーシャルクリニック講演会や給食プロジェクト、花火プロジェクトなど様々な活動を行っている。
対談相手:澤 ルリ子/ Ruriko Sawa
幼少期アメリカでの3年ほど過ごし、大学でも留学や旅に出かけ海外で働くことを決意。立教大学卒業後、新卒で楽天に入社、1年半で退職しネットで検索して見つけたNPO法人HEROへ。
『死ぬこと以外はかすり傷』をモットーにカンボジアと日本で活動している。
Q:「詳しい設立の経緯や、設立当初の想いなどをお聞きしたいです!」
A:設立のきっかけは、代表の橋本が大学二年生でカンボジアにバックパックしたことが
きっかけです。アンコールワットに訪れた際、子どもたちに急に囲まれて、
物乞いかな?と思ったら「日本語教えて!英語教えて!」と歩み寄ってきたんです。
そこで夢を聞いていたら、みんな楽しそうに目をキラキラさせながら言ってきて。
しかし、それと同時に気付いたのが「この子たちの夢は一生叶わないんだな」ということです。
学校に通ってない子たちのため、自分の名前ですら読み書きできない。
その時橋本は、夢がなかった自分を情けなく感じ、帰りの飛行機で手帳に
『40歳までにカンボジアに学校を創る』と書きました。これが団体設立のきっかけです。
たまたま日本に生まれたから、大学へ行くのも当たり前。仕事も選び放題。
たまたまカンボジアに生まれたから、小学校にも行けない。親の仕事を継ぐしかない。
というは不平等だと感じます。
どんな場所に生まれたとしても、自分の可能性に挑戦できる世界を創りたいと
強く想っています。
Q:「様々な活動をしていると思いますが、今まで行ってきた活動について
詳しく知りたいです!」
A:メインに行っているのは小学校建設で、今までで25箇所、新しく2箇所を進行中です。
公立の小学校の増築や建て替えなどの、教育の物理的な環境を整えています。
また、並行してやっているのが図書館建設です。
農村部では情報を得る機会が少ないため、夢の選択肢が三択くらいしかないんです。
そこで、まずは本を通して知識や夢の選択肢を広げてもらおうと、
増設や併設などで全部で8か所建設しました。
大学生向けのツアー事業も行っていて、現地の小学校は体育の授業がないため
運動会を開催したり、化学の実験授業をやったり、向こうの教科にないものを行っています。
あとは、健康支援として、病院(クリニック)も運営していて、その売り上げの一部を使って
学校の子どもたちの無料健康診断や歯磨き教室の費用に充ています。
(学生とともに学校建設している様子)
Q:「教育関連の支援する際は、支援先はどのように決定しているんですか?」
A:基本的にはカンボジアの教育省と連携しています。教育省からのリストがあるので
それを元に現地にいき、支援者様の要望も合わせながら決定します。
あとは校長先生のやる気も大切にしています。
面談をしていくと「この校長めちゃめちゃ子どものこと考えてるな」とか分かるんです。
どうしても学校のみすぼらしさだけでは選べないので校長先生と面談して決めていますね。
Q:「教育以外の取り組みもしてますが、なにかきっかけがあったんですか?」
A:例えば花火プロジェクトに関してだと、「あの子どもたちが花火を見たら
どんな反応をするんだろう」と妄想して、絶対面白いじゃん!と思ったからです(笑)
初めての時はトライアルで実績もないので、お金も結構かかったんですけど、
一回やってみたら最高で、もうやめられなくなったって感じですかね(笑)
そこからは、写真の材料も揃ったり、参加してくれた人が口コミしてくれたりして
寄付が集まるようになりました。うちが建てた小学校の裏庭でやっているので
日中はツアーに参加した学生さんに縁日を作ってもらって、子どもたちと射的をやったり
ヨーヨー釣りやったりして、夜は花火大会をして、村人全体で楽しんでいます。
学校だけだと、教育とかに興味ある人は興味を持ってくれますが様々な分野に精通している方にも携わって欲しいという想いがあって。
こういった活動をすることによって、違う視点からのアプローチができるきっかけにもなりました。
「学校はちょっと…でも花火はいいよ〜」って言ってくれる支援者さんもいるので
そう言った意味では、バリエーションが増えて良かったです。
(花火を見上げる子どもたち)
Q:「支援したいと思われるよう工夫されていると感じたのですが、
団体としてのこだわりなど意識しているんですか?」
A:実は団体の裏テーマが『さらば普通のNPO』なんです。
NPO業界の平均収入ってとても低いので、普通にNPOをやっていたら稼げない。
そうすると、優秀な人が集まりにくいし、働いている人が楽しそうじゃなかったりします。
それじゃ、この業界の未来はない。まずは、稼げるようなNPOであり続けること。
イベントや講演会をやっていても「NPOや国際協力をしたい!けど、収入面が不安だ。」
という声もよく聞くので、そういった人たち向けのスクールなどもやっています。
助成金に頼るのではなく、ビジネス面での運営に重きを置くことを意識しています。
また、NPOっぽくないこともやろうと思っていて、カンボジア、国際協力の視点以外の
繋がりも増やすために、全然関係ない人を集めてコミュニティを広げたりしています。
支援してくれる方が、「こんなくだらないイベントあるから行かない?」と
他の人を誘ってくれたりするような、色んな入り口や視点から入ってもらうことを
心がけて様々な機会を作っています。
Q:「コロナの影響も含め、現在力の入れている活動を教えていただきたいです!」
A:コロナにより、カンボジアにいつ入れるのか分からず、団体の運営費として大きい
ツアー事業に影響が出ています。また、学校建設の支援金が決まっていた企業様も、
経営状況に見通しが立たないため、延期になったりしています。
反対に、人数が少なくて今まで放置してきていた部分もあったので、
今まで着手していなかったことを進められていると思えば、良い機会だと思っています。
特に、現地に行けない現在は、日本でできることに重きを置いていて、
『社会貢献で飯を食う人を増やす』をテーマに、将来、途上国支援とか国際協力したい人に
向けて、オンラインスクールを始めました。「やりたいけどどうしよう」みたいな人を
応援できるのが、昔の自分を見ているようですごく嬉しいです。
社会貢献を仕事にする人が増えれば、社会問題ってもっと早く解決すると思います。
オンライン上でも、今まで培ってきた経験をお伝えして、背中を押すことができるので、
今はそこのオンライン授業を定期的に増やしていければな、という気持ちです。
(オンラインスクール https://activo.jp/articles/77600)
Q:「支援は永続的なものではありますが、団体としてのゴールはありますか?」
A:元々あったのは、私たちが作った学校で1万人の子どもたちを通わせるという目標です。
実は、それもコロナがなければ達成していたんですが、今は先延ばしの状況です。
そこで、学校建設と並行して貧困へのアプローチへ軸を変えていくことも考えています。
今まで学校を支援してきて、町から行けるところでの要請はかなり減ってきました。
ただ、現状を見てみると、子どもたちが学校に行けない理由は貧困がとても大きいんです。
貧困が、根本にある大きな壁。
今までは村の世帯の収入を上げようといろいろやっていましたが、村全体の
知識や考え方へのハードルも高く、使える額を増やすことは難しかったです。
なのでシフトを変えて、コストを下げることに目を向けました。実際に調査をしてみると
病気になった時の病院までの移動代などにお金がかかりすぎたりしていました。
それだったら、HEROで週1でコミュニティバスを走らせたり、HEROのクリニックの看護師に
村へ訪問診察してもらったりすれば、自然とコストが下がりますよね。
その分、使えるお金が増える。そういった形の支援ができれば、
子どもたちの学校への通いやすさも上がるだろうと考えています。
他にも、花火プロジェクトはタイのチェンマイでも開催する予定だったり、
これからはカンボジアに限定せずに挑戦していこうと考えています。
今年からネパールとか、いずれはアフリカなどにも支援地域を広げていきたいです。
Q:「とても内容の濃いインタビューをさせていただき
本当にありがとうございました。
最後に、澤さんがHEROで活動してきて良かったことを教えてください!」
A:やっぱり、やってよかったなって思います。
っていうのも、仕事内容って、営業をしたりウェブページを作ったり一般企業の時と
案外あんまり変わらないんです。でも、リターンが比べられないほど大きい。
カンボジアの子どもたちはほんっとうにかわいいんです。
あの子たちの笑顔を見ちゃったらやめられないなって感じです。
その笑顔に携われているという意味でも、やってよかったと思います。
【編集後記】
「さらば普通のNPO」という想いからもわかるように、常に革新的な考え方でNPO業界に新しい風を巻き起こしているHEROさん。でもその根本には、「子どもたちのキラキラした笑顔のために」という純粋な気持ちで成り立っていることがわかりました。支援の形にとらわれず、大きくなっていくHEROさんからのお話は、とても学びのあるものでした。
インタビューのご協力、誠にありがとうございました!
2011年設立
代表理事:橋本 博司 / Hiroshi Hashimoto
活動概要
・学校建設
・旅ぼら
・ビジネスインターン
・カンボジアクリニック運営
・花火プロジェクト
・講演会
・オンラインスクールなどHP: http://npo-hero.org/
2020年9月22日